木村草太『憲法の急所』第8問に対する「素朴な感想」

 前エントリーを放置して5ヵ月半。

 おととい夜、twitterでつぼやいたこと*1を、もう少し説明します。

 木村草太『憲法の急所―権利論を組み立てる』(羽鳥書店、2011年)第8問に対する「素朴な感想」です*2

*1:http://twitter.com/siganaikenpou/status/97666473404809218

*2:第8問以外については、http://twitter.com/siganaikenpou/status/96650296893259776http://twitter.com/siganaikenpou/status/96653222449643520とか。あとは、紙幅・制限時間の関係で、論証例をそのままコピペした答案が作れるのか? とか…。まあ、私の感想はモウソウパンダにすぎず、受験生からの「現場の意見」を尊重されたほうがいいと思うし、いずれは、教員からもいくつか「書評」という形で公表されるでしょうから、あまり参考にはならないかも…。

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憲法判例の読み方(入門編)・その3

 前回の日記では、判決文の目次を作成してみました。

 PDF文書として17ページにも及ぶ小難しい文章であっても、目次作成をすることによって、その長文の「構造」を概観でき、またその長文の理解につながるだろうし、さらに17ページも読まなくても最初の5ページを読めばOK牧場ということがわかる…(ry*1

*1:厳密には、法廷意見が何名で構成されているかは、判決文の最後尾(17ページ)の署名を見ないと計算できませんが…。って、結局ほぼ「5ページでいい」って言っているようなもんぢゃん! まあ、「判示事項」の内容を読むだけならですが…。でね、こういうふうに断言したほうが、「法廷意見」と「その他の意見」の内容を、【混同しない】ことにつながるかにゃぁと…。そして、今日は書かないけれど、今後に述べるかもしれない「判例の射程」を考える上でも有益かにゃぁと…。

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憲法判例の読み方(入門編)・その2

 前回は、いつもはあまり紹介しない「判示事項」「判決要旨」を利用して、
 (1)“最3小判平成19年02月27日 民集第61巻1号291頁”があるからといって、別の事案では当然には合憲にはならない鴨よ、

 (2)最高裁が、市立中学校の音楽教諭に入学式で「君が代」伴奏を命じることが憲法19条には反しないとしたのは、公務員であれば当然職務命令に従わなければならないから、という「理由のみ」からではないよ、

 という2点を示せたかと思います…(たぶん。

 今日は、「判決要旨」を説明してもいいのだけれど、噛み砕いて説明すると、結局、「判決文嫁」ってことになるだろうし、「判決要旨」だけで判決文を理解するというのも「邪道」でもあるはずなので*1、これを機会に、判決文のほうの説明もしておこうかNato




2.判決文の構造

 で、いきなりPDF文書にして17ページにも及ぶ、小難しい文章が続く判決文を読んでも、チンプンカンプンかもしれないので、判決文の「構造」の説明をまず。

 というわけで、なんちゃって目次立て。「主文」「理由」以外の見出しは、短くするなりして勝手につけますた*2

主文(1ページ)

理由(1~5ページ)
 1.事案(1ページ)
 2.原審の適法に確定した事実関係等の概要(1~2ページ)
  (1)~(6)
 3.上告理由中の本件職務命令の憲法19条違反をいう部分について(2~5ページ)
  (1)~(4)+法廷意見の判断
 4.その余の上告理由について(5ページ)
    +法廷意見の結論

補足意見(6~11ページ)
 1.~4.

反対意見(11~17ページ)
 1.~3.

 「主文」とは、「判決の結論を簡潔に述べたもので、上告審では上告人が求めた裁判(……)に応答する形で表記される」*3そうです。

 で、この主文はとても短いので、そのまま引用。

 主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

 短文だから、内容はわかりますよね…。しかし、ここからだけでは、判示事項の「…憲法19条に違反しない」はわかりません。



 次の「理由」ですが、「上告審の理由は、上告理由(……)に対応する形で述べられるのが原則であり、その際、上告審は法律審なので、事実審で適法に確定された事実を前提とする(民訴320条・321条1項。……)」*4そうです*5
 本判決は、「原審の適法に確定した事実関係等の概要」を前提として、「上告理由」について判断しているわけですが、「判示事項」について詳しく知るだけなら、多数意見の書かれた最初の5ページだけを読めばいいわけです(オイ。

 というのは、裁判は、原則「過半数の意見による」*6ので、結果として、少数意見は裁判の結論を左右しないからです…。

 ちなみに、本判決は、5人の裁判官で判断されていますが、1人が補足意見を、1人が反対意見を書いています(PDF5ページ末尾参照)。

 「補足意見」は、法廷意見を構成する裁判官(つまり本件では4人)が、さらに何か(?)述べたい場合に書かれる意見です*7。はい、「補足意見」は、多数意見の結論・理由には賛同しているんですよ!

 これに対して、「反対意見は、結論・理由ともに法廷意見(多数意見)と異なる」*8ものです。

 なお、本件にはありませんが、「意見」というものもあって、これは、結論は法廷意見と異ならないけれど、理由が全部または一部違う意見のことです*9



 う〜ん、なんか、全然中身に入ってないぢゃまいか…。(´・ω・`)

*1:つーか、プロの方って、「判示事項」「判決要旨」って読むんでるんでつか?

*2:小見出しをつけろ!!」 参照、http://twitter.com/takemita/status/36847379076489216

*3:池田真朗編『判例学習のAtoZ』(有斐閣、2010年)21ページ〔山田文執筆〕。前回の日記で執筆者を明記し忘れていました。同じく山田氏です。

*4:同上、22−23ページ〔山田執筆〕。

*5:「上告裁判所は、上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査をする。」(民訴法320条)、「原判決において適法に確定した事実は、上告裁判所を拘束する。」(同法321条1項)。

*6:「裁判は、最高裁判所の裁判について最高裁判所が特別の定をした場合を除いて、過半数の意見による。 」(裁判所法77条1項)。この点を説明してましたっけ?見落としていたらスマソ。>『AtoZ』

*7:だって、『AtoZ』では…。

*8:前掲書27ページ〔山田執筆〕

*9:だって、『AtoZ』では…。最近の憲法判例で、「意見」が登場したのはというと、なんだろう…。(´・ω・`) 昨年1月22日以降の日記でちょっとだけ取り上げた“最大判平成22年1月20日 民集第64巻1号1頁”とか? 古い判決なのに「意見」をどう読むのか近時議論になったものとしては…、あれ、なんだったっけ・・・。(´・ω・`)

憲法判例の読み方(入門編)

 新年明けましておめでとうございます…。(´・ω・`)

 さて、
 http://twitter.com/siganaikenpou/status/35396557725499392

 で予告はしたけれど、なかなか捗らず、2月ももう半ばになりつつあります…。(´・ω・`)



 このエントリー、書こうと思ったきっかけは沢山あるのだけれど、直接のきっかけ(?)は、

 http://togetter.com/li/97330
 かな。ただ、これに直接答えるわけではなく、「てけとーな」判決文の読み方講座(入門編)を書こうかなと思った次第。

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2010年を振り返って

 また1ヶ月以上開いてしまいました…。いくつかボツにしたからということもありますが…。

 というわけで、今年を振り返ってみるテスト。あくまで、ネット上のお話。

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レッテル貼りの危険性

 前回の日記から1ヶ月経ってしまいました…。

 古いネタを出すのも気が引けますが、書くネタがあまりないので、今年1月17日・24日にmixiで書いた話をもう1度こちらで…。

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