憲法判例の読み方(入門編)
新年明けましておめでとうございます…。(´・ω・`)
さて、
http://twitter.com/siganaikenpou/status/35396557725499392
で予告はしたけれど、なかなか捗らず、2月ももう半ばになりつつあります…。(´・ω・`)
このエントリー、書こうと思ったきっかけは沢山あるのだけれど、直接のきっかけ(?)は、
http://togetter.com/li/97330
かな。ただ、これに直接答えるわけではなく、「てけとーな」判決文の読み方講座(入門編)を書こうかなと思った次第。
というわけで、取り上げる素材は、予告した通り“最3小判平成19年02月27日 民集第61巻1号291頁”です。
1.「判示事項」「判決要旨」
まず、リンク先にある「判示事項」を引用。
判示事項
市立小学校の校長が音楽専科の教諭に対し入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うよう命じた職務命令が憲法19条に違反しないとされた事例
これまであまり説明していなかったですね。
この「判示事項」は、最高裁判所判例委員会が付するインデックスであって、次に挙げる「判決要旨」をさらに簡潔にまとめたものです*1。つまり、判決文の一部ではありません。
内容は、説明しなくても、わかりますよね。ただ、他の事案、例えば、「公立高校の校長が音楽専科の教諭に対し…」という場合に、「憲法19条に違反しない」と当然に言えるのかどうかは、実はわからないのです…。厳密には…。
次に、「判決要旨」を、見やすくするために改行を施した上で、引用。
判決要旨
市立小学校の校長が職務命令として音楽専科の教諭に対し入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うよう命じた場合において,
(1)上記職務命令は「君が代」が過去の我が国において果たした役割に係わる同教諭の歴史観ないし世界観自体を直ちに否定するものとは認められないこと,
(2)入学式の国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏をする行為は,音楽専科の教諭等にとって通常想定され期待されるものであり,当該教諭等が特定の思想を有するということを外部に表明する行為であると評価することは困難であって,前記職務命令は前記教諭に対し特定の思想を持つことを強制したりこれを禁止したりするものではないこと,
(3)前記教諭は地方公務員として法令等や上司の職務上の命令に従わなければならない立場にあり,前記職務命令は,小学校教育の目標や入学式等の意義,在り方を定めた関係諸規定の趣旨にかなうものであるなど,その目的及び内容が不合理であるとはいえないこと
など判示の事情の下では,前記職務命令は,前記教諭の思想及び良心の自由を侵すものとして憲法19条に違反するということはできない。
(補足意見及び反対意見がある。)
この「判決要旨」は、最高裁判所判例委員会が、当該判決の事案と判断を簡潔にまとめたもので、判決文の一部ではありません。*2。
さて、この「判決要旨」の構造なのですが、「…という場合において」「(1)(2)(3)などの事情の下では」「前記職務命令は…憲法19条違反ではない」という【構造】が読み取れましたか?
で、まあ、ここからいきなり、何らかの示唆を得るとすると、例えば、
(a)「最高裁判例によれば、…という場合において、前記職務命令は、憲法19条違反ではない」は「正しい」としても、
(b)「最高裁は、…という場合において、(3)のみを根拠に、憲法19条違反ではないと判示した」というのは「誤り」ですよね、と。
というわけで、後者(b)*3のような表現(例:「公立学校の音楽教師は、公務員だから当然に、職務命令に従うべきである。だから、職務命令に従ってピアノの伴奏をすべきであって、憲法19条違反ではないのも当然だと、最高裁判所は言っている。」)を目にすると、「揚げ足取り」をしたくなってしまうわけです…。
あと、「判決要旨」に「補足意見」「反対意見」の存在が指摘されていますが、その説明のためには、判決文の「主文」「理由」の説明をしないとイケないので、今日はパスw。
「参照法条」も、憲法学者は法律読まないらしいので(嘘、説明はパスw。
これだけで、ちょっとは、判決文を読んだり、ネット上の言説を評価するうえで、参考になるのではないかなと思って、あまり時間をかけずに書いてみるテスト。(´・ω・`)
連作になるかどうかは、未定。