法律の文言でも・その1

 こっちを書きたかったわけなのですが、手短にorz。要するに、同じような文言が使われている場合にも異なる意味で用いられる一例のお話を。



定義規定がある場合

 行政法の試験問題では有名な事例として、「行政機関」を取り上げてみましょう。


  • 行政手続法

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
  五  行政機関 次に掲げる機関をいう。
   イ 内閣府宮内庁内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員
   ロ 地方公共団体の機関(議会を除く。)

 行政手続法の2条5号を引用しました*1。細かい話はさておき、同号イから、なんとなく、中央政府の行政機関が、同号ロから、地方公共団体の行政機関が、行政手続法の「行政機関」に該当することが読み取れますね。


  • 行政機関情報公開法

(定義)
第二条  この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
  一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関
  二 内閣府宮内庁並びに内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項 及び第二項 に規定する機関(これらの機関のうち第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
  三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項 に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
  四 内閣府設置法第三十九条 及び第五十五条 並びに宮内庁法 (昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項 の機関並びに内閣府設置法第四十条 及び第五十六条 (宮内庁法第十八条第一項 において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの
  五 国家行政組織法第八条の二 の施設等機関及び同法第八条の三 の特別の機関で、政令で定めるもの
  六 会計検査院

 行政機関情報公開法2条1項を引用しました。細かい話はさておき、地方公共団体の行政機関は含まれていませんね。



 つまり、「行政機関」の中に、地方公共団体の行政機関を含むのか、行政手続法と行政機関情報公開法で違うわけです。

 行政手続法のように、「定義」には含まれているけれども、その法律を「適用」したくない場合には、特別法を作るか、その法律の中で「適用しない」旨を定める必要があります。後者の場合が、「適用除外」の規定です。

 行政手続法にも「適用除外」の規定がありますが、3条2項で、地方公共団体の行政機関の一定の行為が適用除外になっています。さて、その一定の行為とは何でしょうか?、と言うのが有名なところですよね。

 なお、地方公共団体に対しては、条例等の策定の努力義務を、行政手続法38条と行政機関情報公開法26条で課しています。



 今日は、このへんで・・・。簡単な基本的なことを連作にしてしまうのですた。(´・ω・`)

*1:本当は、法律は、最初から読み通して、附則まで読むというのが基本らしいですが、まあ、今回は、その辺は気にしないと言うことで・・・(^^;。