意見の多様性と多数決・その4−2

 昨日の日記の続きです。

 数ヶ月前に書いておけばこんなことにはならなかったのですが、読んだ内容はすでに忘れ、だからと言って読み直す気力もなければ、

 引用する場合も、事前に入力しておかなければ、確認する必要があるとはいえ、確認する気力もなく、

 しかも、文献が散逸していたりして…。(´・ω・`)




4.「一枚岩ではない」各見解
 昨日の日記の最後に、↑のようなタイトルをつけ、「各見解」ってしたんですよね…。

 ミクシの内容を読んでおられない方に説明するために、どういう順番で書けばよいものか…。(´・ω・`)
 学説の紹介・私の立場の紹介ってくらいでいいでしょうかね…(^^;。

(a)徴兵制合憲説・その1(導入賛成説)
  徴兵制採用は合憲であり、導入すべきである。
  「いまどきの若い者はたるんでいるから、徴兵制を採用すべきだ(強制的に自衛隊にでも入隊させるべきだ)。」という見解も含む。

(b)徴兵制合憲説・その2(導入反対説・その1)
  徴兵制採用は合憲であるが、現代戦には不利であり、(現時点での)採用には反対である。

(c)徴兵制違憲説(導入反対説・その2)
  徴兵制採用は違憲であり、(現時点での)採用には反対である。

 私は、(c)の立場に立った。

 そして、コメントを書いてくださる方が(b)の立場であることを想定していたし、実際にそうだったわけです。コメントを書いてくださった方々の話は、あとにするとして、(c)の立場(特に「一枚岩ではない」ということ。)を説明したほうがいいんでしょうかね…。

 というのも、“Wikipedia:徴兵制度”の「徴兵制度の現状」に、「違憲説の内容」が細かく書かれていないし、コメントしてくださった方も、「徴兵制違憲説=9条違憲説」と思われていた(今でも思われている?)ような気がするから(Dさんは「正直に」知らなかったと言ってくださった。)。



 (1)違憲説の根拠条文

 違憲説の法的根拠を、説明の便宜の観点から、ラフに書くと、

 ◎憲法9条
 ◎憲法18条
 ◎(憲法典の背後にある)立憲主義(という思想)
 ◎その他の憲法典の条文(13条・22条など…)

 上の項目(法的根拠)の「組み合わせ」は、自由…。

 昨年9月29日の日記で簡単に触れたように、従来の学説は、「9条や18条に違反する」と考えていた。

 そして、政府が「13条・18条に違反する」とは言ったのに対して、従来の学説が「9条も入れろよ」って批判したのは事実。

 でも、政府は、「9条に違反する」とは言わなかった。正確には、「いわゆる徴兵制度を違憲とする論拠の1つとして同条〔憲法9条〕を引用することは考えていない。」って回答したんですよね…*1




 “政府見解が「違憲説に分類される」”のは「常識」だろうし、学説の大勢(通説)も違憲説だけれど、「一枚岩」ですか?

 政府見解は「9条違憲説」ですか?

 違憲とする「根拠条文」違いませんか?




 何をこだわっているかって、9月3日のミクシの日記を抜粋。

(a)従来の憲法学は、徴兵制が9条や18条に照らして「違憲」である、と主張していたわけだけれど、「表面的には」、9条や18条の「条文」に反するからとか、18条の「人権」を侵害するから、ということをいってきた。
 徴兵制の「効率」といっていいかはさておき、それには触れていない。

(b)長谷部説は、「効率」といっていいかはさておき、それよりも重要なのは、「(彼なりの)立憲主義」であって、
 そして、(a)とは異なり、(a)よりも根本的な「(彼なりの)立憲主義」を根拠にして(前面に出して)、「徴兵制」は「立憲主義」(日本国憲法の解釈)とは相容れない、といっている。

(c)それに対して、一般の「徴兵制」反対論者は、「効率」といっていいかはさておき、そういうことのみを根拠にしている。

 まあ、そういうことを「指摘」(「紹介」)しているに過ぎません。
 (a)(b)を批判するのは自由だけれど、私と議論するのであれば、それなりの理論武装をして(出典を記載して)くださいね〔以下、抜粋する際に省略〕

 確かに、最後に、「(a)(b)を批判するのは自由だけれど」とは書きましたが、どこを読んで、私が9条違憲説に立ったと思われたんでしょうかね…(^^;。

 昨日引用した長谷部氏のご見解は、要するに「徴兵制は立憲主義に反する」というものであって、9条違反とか18条違反とは言っていない。しかも、長谷部さんは自衛隊合憲論者だということも説明したんですけれどね…。

 どうして、私(長谷部氏の見解の「超劣化コピー」)との議論の中で、9条の話が「前面」に出てくるのか…。「議論の進め方が悪い」と言われたけれど…。(´・ω・`)*2



 9条の問題から離れて、違憲説(特に18条違憲説)に対する疑問・批判は、次の3つかな。

 ◎徴兵制度という制度自体が、なにゆえ「人権」違反になるのか?

 ◎徴兵制が18条違反だとすると、裁判員制度も18条違反ではないのか?

 ◎世界各国において、(とくにアメリカ)(とくに18条の母体となった合衆国憲法第13修正)において「違憲ではない」のだから、日本においても「違憲ではない」のではないか?

 「憲法学の今後の課題である」だろうからと、コメントする際もごまかしたところあった希ガス…(^^;。

 この点について、簡単に言えば、

 具体的な「侵害」がなくても「人権規定」違反になることはあるし、

 18条の「意に反する苦役」の「苦役」は、「肉体的労務」が主眼であること(← 「難問」ですよね。でも「死にに行け」っていうのは「肉体的労務」の究極でしょうからね…。)。



 裁判員類似の制度は「他の国も取り入れている」っていうのも理由になりそうですが、そうすると、「徴兵制も…」っていうことになりそうですよね…(^^;。

 そこは、「過去の戦争の反省」とか「憲法9条の存在」(軍の正統性の否定)ということから「日本独自の結論」を導くんだろうけれど、合憲説への「思い入れが強い」と、そういう見解は「信じてもらえない」わけで…。




 しかし、だからこそ、「価値観抜きで論理的に説明する」って限界があるのは認めつつ、どこまでそういうことができるかっていうのが、今回のテーマなわけでして…(^^;。
 この点について、私が、気になったのは、(b)の方(徴兵制合憲論者かつ導入反対論者)は、どうして違憲説を「敵視」されるのか?

 「政府見解が違憲と言っているよ」ということに乗っかっていれば、「導入反対論者は、合憲説・違憲説は、win-win」なのに…。

 こういうことを私がいうと問題かもしれないけれど、「徴兵されたくない、政府も違憲だと言っている。だから、違憲だと言ったほうが得策。」というのは、その方々には、「許されない」考え方なのかなあ…。(´・ω・`)

 この点について、「(a)の方(徴兵制合憲論者かつ導入賛成論者)を説得できない。憲法上許されないのなら、許されるように憲法改正だと勢いづく。それでは、護憲派は困るのでは?」というご指摘を受けました。

 私が繰り返し言ったのは、要するに、

 長谷部説は、徴兵制採用という政策が非現実的だということより立憲主義違反であることのほうが重要だ、と主張しているわけで、「現実性の問題」を否定しているわけではない。
 従来の通説も、「現実性の問題」自体を、否定しているわけではない。
 よって、話す相手によって「理由の使い分け」をすればいい。
 最終的には、多数決。
 〔現時点では〕徴兵制賛成の(a)の立場は少数派だろうから、「徴兵制」は採用されないであろう…。




 (2)「徴兵制」の定義を示さなかったわけ

 実は、議論する際に、わざと、「徴兵制」の定義を明示しなかった、という側面があるんですよね…(^^;。

 「どこまで細かくつきつめて議論するのか?」によるのだけれど、「徴兵制に該当するものは違憲である」ぢゃダメですかね…(^^;。

 だって、「範囲」は人によるから…。

 「何? 徴兵制に該当しない? 俺様からすると、それは徴兵制に該当する。よって、貴様の議論は正しくない。」って、「最初から」、徴兵制反対論者(違憲説のみならず、合憲説も含む。)の中で「仲違い」しますか?

 そういうことをしておられそうな方が、げふんげふん…。



 定義を示さなかった理由はまだある(笑)。

 「〔最高裁判例・政府見解・通説と異なる見解を示す場合〕その根拠は何?(それを示せないと、あなたの負け。)」と表立って言うような「ズルい」私からすると、「若干」都合が悪いことがあったんですよね…。

 長谷部説に立つというだけで、「通説」「政府見解」と違う…。しかも、長谷部氏も「徴兵制」の定義を示しておられない…(笑)。



 何が言いたいかというと、「私の考える『徴兵制』には、政府見解によると違憲にならない『徴兵制』がある」ってことですよ。
 だからこそ、こちらでも、この件についてコメントのやり取りしだして1ヶ月弱の時点の9月29日の日記

 問題は、この政府答弁を前提として(修正することなく)、どのような制度をとることができるのか?

 そういう情報提供をすることができていたのならば、「民意」というものも、別の形になっていたかもしれない…。

 なんて言ったわけで…(少なくともミクシで最初の日記を書いた8月28日の段階で「政府見解の穴」は見つけていたわけで…)。



 (3)政府見解における「徴兵制」とは?

 (つづく)

*1:1981年3月13日の政府答弁書を、佐藤功自衛隊憲法」『憲法問題を考える―視点と論点』(日本評論社、1981年)237ページ(補遺の部分)から孫引き。ちなみに、水島朝穂氏は、1980年8月15日政府答弁書「のみ」を引き合いに出して、「「など」のなかに9 条が入るかどうかは明らかではない」とするが、それはどうかと…。(´・ω・`)

*2:「これだけでは9条違憲説の立場に立っていないとは限らない」と思われるかもしれないので、「若干」誤解を避けるために付言すると、昨日引用したように8月28日のミクシ日記は長谷部氏の議論の紹介だったわけです。〔違憲説(通説)は、9条違憲説だから、それとは違う違憲説なのだから〕最初に私のほうから積極的に「長谷部説に立つ」と明示しないといけない、のですかね…(^^;。