Wikipedia補完計画・その2

 前回から1ヶ月以上放置してしまいました。m(_ _)m

 今日は、7月1日の日記:“Wikipedia補完計画”の続きです。




 今月に入って、みくCにおいて、マイミクさんと、コメントのやり取りを続けさせていただいております。

 6月ころ、こちらで議論したときほどではありませんが、自分の思いを伝えることに苦労しております。気心が知れているはずのマイミクさんとなのに…。(´・ω・`)



 そのやり取りの中で、1つ気がついたことを書くに過ぎません。

 マイミクの方は、すでにみくCのほうに書きました。




 何の話かというと、次の記述です。

 日本では、内閣法制局が過去に「徴兵・兵役は日本国憲法で禁じる“意に反する苦役”であり違憲である」との見解[2]を示している。

 その注2を見ると、

 2.^ 第六十一回衆議院内閣委員会(昭和44年06月24日)内閣法制局長官 高辻政府委員

 とあります。該当ページはこちら。

○高辻〔正巳〕政府委員〔内閣法制局長官
 最初にお断わり申し上げましたように、実は当方として法制局も研究室ではないものですから、何といいますか、何ら現実的な政治あるいは行政と離れたことすべてをやっておるわけではございませんので、最初に申し上げましたように、いろいろな検討を加えてこうだということを申し上げるような勉強をいたしておりません。しかし、いま申し上げましたように、学界の学者の説というのを率直に御紹介申し上げましたが、その中には苦役に服させられないという説からいって違憲である。あるいはその中には入らない。入らないけれども、戦力不保持からいって相いれないのだという説がある。またごく一部の説ではございますが、ちょうど徴兵は、災害に際して救助の業務に市町村ないし都道府県の住民が当たらされる場合があると同様に、国防というもの、一国の防衛についてはそれと同じように考えられはしないかというような考え方も率直に申し上げてあるものですから、それを申し上げております。
 しかし、先ほども申し上げましたように、憲法十八条なりあるいは九条なりの関係からいって、徴兵制度というものは憲法上できないのだという考え方が一般的であるということだけは事実として申し上げられます。

 要するに、学説の通説が、「徴兵制度は違憲である」といっているという「事実」を指摘しているわけです。

 もちろん、これまで、政府は「徴兵制度はとりません」と言ってきたけれども、「とれません」とは言っていない時期のこと。



 よって、「内閣法制局が、違憲である」との見解を示したと言えるのか?

 wikipediaの記述が若干不正確な気がするわけです。



 では、「内閣法制局が、違憲である」という見解を示したのはいつなのか?


○高辻〔正巳〕説明員〔内閣法制局長官
 ……ところで、いまお尋ねはそういうことではなしに、徴兵制度というものは一体わが日本国憲法のもとでやれるのか、とれるのかとれないのかというお話でございます。これは、ただいま御指摘がありましたが、元来佐藤総理は、中曽根長官もいまおっしゃっていますが、徴兵制度実施の考えがないということは、これはしつこいほど述べておられます。そういうこともありまして、いままで特に研究する必要にも迫られなかった、また現に研究もしなかった、そういうことで、いま御指摘のように、去る六十一回国会の当委員会だったと思いますが、御質問がありましたのに対して、率直に、憲法上許されないとする考え方のほうが通説として一般的であるという話をするにとどめたわけです。徴兵制度はとるべきでないという政府の考え方、これはむろん変わりがあるはずはございませんが、いまはたってのお尋ねでございますので、見解を申し述べるということになりますと、いいかげんなことでお答えはできない。やはり徴兵制度ということは一体いかなるものであるのか、その辺を確定してかからないとお答えをするわけにまいりません。そこで私もいろいろものの本によって調べさせましたが、たとえば、徴兵制度は、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度である、すなわち、軍隊を平時において常設し、これに要する兵を毎年徴集し一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるもの、これは一つの本ですが、これに似たものはたくさんございます。というように、一般に兵役といわれる役務の提供は、わが憲法の秩序のもとで申しますと、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものと社会的に認められるわけでもないのに義務として課される点にその本質があるように思われます。このような徴兵制度は、憲法の条文からいいますとどの条文に当たるか、多少論議の余地がございますが、関係のある条文としては憲法十八条「その意に反する苦役に服させられない。」という規定か、あるいは少なくとも憲法十三条の、国民の個人的存立条件の尊重の原則に反することになるか、そのいずれになるか、私は、多少論議の余地があるかと思いますが、いま申したような徴兵制度、これは憲法の許容するところではないと私どもは考えます。

 要するに、前回の答弁は、「率直に、憲法上許されないとする考え方のほうが通説として一般的であるという話をするにとどめた」が、今回の答弁では、踏み込んで、憲法13条・18条違反である旨を述べた。



 竹田発言なるものがあったせいなのか、この答弁と同様の見解が、昭和50年8月15日の政府答弁書(鈴木善光内閣)としてなされるたわけです…。



 で、問題は、この政府答弁を前提として(修正することなく)、どのような制度をとることができるのか?

 そういう情報提供をすることができていたのならば、「民意」というものも、別の形になっていたかもしれない…。何年も前から、そういうことを考え続けております…。(´・ω・`)



【いくつか参考文献】
1.「衆憲資第54 号 「刑事手続上の権利(31条〜40条)(行刑上の問題を含む)・被害者の人権」に関する基礎的資料」(衆議院憲法調査会事務局、2004年)
 http://www.shugiin.go.jp/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/shukenshi054.pdf/$File/shukenshi054.pdf
 の1−4ページ(PDF換算で6−9ページ)
2.佐藤功「徴兵制度と憲法」法学セミナー314号(1981年4月)114−120ページ
3.長谷部恭男・杉田敦これが憲法だ! (朝日新書)』(朝日新聞社、2006年)とくに第2章(59−121ページ)