下級裁判所の違憲審査権

 ギネアアブラヤシ教のplummet教祖さまから昨夜の日記にて、

 ここは我が教団が誇る憲法研究家、教団憲法戦略部所属のしが研さん(id:shiga_kenken)にお出まし願おう。

 .vWv
  ´||゜  †
( ゜∀゜)ノ へい、かもーん。

なんて過分な紹介のみならず*1トラックバックまで頂戴しておきながら、先ほどまで気がつきませんでした・・・orz。誠に申し訳ありませんでした。



 (A` )、  ペコペコ

  ノノ z乙




 ということで、時機に遅れたものではありますが、下級裁判所違憲審査権について、簡単にエントリーとしてご紹介して、日記を埋めさせていただきます。m(_ _)m
 まず、日本国憲法81条。

 第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

 最高裁判所が、違憲審査権を有し、かつそこでの違憲審査が一応最終的であることは規定から明らかです。しかし、この条文からは必ずしも下級裁判所*2違憲審査違憲を有するのか必ずしも明らかではありません。

 論点を飛ばしつつ説明する意味で*3、定評のある最新の教科書のひとつである、野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利『憲法〈2〉〔第四版〕』(有斐閣、2006年)265頁(野中執筆)から引用*4

 違憲審査権が司法権の機能の一環として捉えられる以上それは最高裁判所だけではなく、最高裁判所だけでなく、同じく司法権を担当する下級裁判所においても行使できる正確のものと解するのが自然である。憲法81条の規定は、下級裁判所違憲審査権をことさらに排除する趣旨には読めず、むしろ司法権の機能の一環としての違憲審査権という前提の下に、司法権の頂点に立つ最高裁判所が、その権限の最終的な行使者であることを強調したものと解される。理由付けの点で多少の違いはあるとしても、下級裁判所違憲審査権を有するという結論において今日学説上の争いはない。最高裁も初期の頃の判決において同じ結論を出しているし*5、現行の訴訟法もそれを前提とした規定を設けており(刑訴405条、民訴312条等)、また実際に下級裁判所は、憲法施行後一貫して必要に応じて行使してきた。

 せっかくここまで引用したので、まず、その最高裁判決を引用し、その後、現行の条文も引用しておきますm(_ _)m。

 憲法は国の最高法規であつてその条規に反する法律命令等はその効力を有せず、裁判官は憲法及び法律に拘束せられ、また憲法を尊重し擁護する義務を負うことは憲法の明定するところである。従つて、裁判官が、具体的訴訟事件に法令を適用して裁判するに当り、その法令が憲法に適合するか否かを判断することは、憲法によつて裁判官に課せられた職務と職権であつて、このことは最高裁判所の裁判官であると下級裁判所の裁判官であることを間はない。憲法八一条は、最高裁判所違憲審査権を有する終審裁判所であることを明らかにした規定であつて、下級裁判所違憲審査権を有することを否定する趣旨をもつているものではない。*6



刑事訴訟法
 第四百五条 高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。
  一  憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。
  二  最高裁判所判例と相反する判断をしたこと。
  三  最高裁判所判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所判例と相反する判断をしたこと。

民事訴訟法】
(上告の理由)
 第三百十二条  上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。
 (二項以下省略)

 まあ、これは入り口部分。あとは、噂のおおささん おおやさん*7に、お任せということで・・・(^^;*8

*1:このような紹介をしていただき、本当に感激しておりま〜す♪。

*2:下級裁判所は、高等裁判所地方裁判所家庭裁判所及び簡易裁判所とする。」(裁判所法2条1項)。

*3:といってジライを踏んでいそうな気がするが・・・。

*4:第三版(2001年)だと、257−258頁。

*5:しが研注:ここで注が付されているが、注の引用は省略します。

*6:なお、この引用したページでは、昭和24年となっていますが、25年の間違いです。新HPのPDFファイルも同じく間違っています。(`・ω・´)

*7:私の想像では、例えば、このようにたくさんのご業績のある方ですよね・・・(^^;。日本法哲学会奨励賞(2004年論文部門) も受賞された・・・。

*8:下のコメントで書きましたとおり、super_hakaさまからご指摘を受け、訂正させていただきました。大変申し訳ありませんでした。m(_ _)m(16日14:36追記)。