キャッチボール訴訟に関するある会話

 ブログを再開してから早1ヵ月半。それでも、以前のような、ちょっとはまともな話はできないので、他愛のない話でごまかすの巻。それからほとんど勉強が進んでいないから・・・orz。

 昨年の12月13日の日記を書く段階だったかは、もうすでに今は昔。




 どこだったか忘れましたが、あるブログで、“騒音の問題だったら、小田急高架訴訟原告適格を認めるよりは、もっと騒音の酷い厚木基地第一次訴訟で認めるべき”というような趣旨をおっしゃっていたような気がするけれども、そもそも前者は、一応、取消訴訟原告適格の問題であり、後者は、民事差止めの問題で、さらに、後者は、防衛庁長官の権限行使が住民の関係において公権力の行使にあたるとして、結局、民事差止めを認めなかった事例。最高裁がそう判断したまでであって、後者において民事差止めを不適法としなくてもよかったかもしれない・・・。

 ところで、航空機の離発着の民事差止めを不適法だとした最高裁判例として真っ先に思い出すのが、大阪空港訴訟。この判決のある有名な論点を知らなかったと公言される方もいらっしゃったけれども、それは、勉強している歴史(?)の違いと思われ、それを周回遅れだとか、そんなことも知らないのかと、馬鹿にすることはできません。ある時期に知っていれば良い話なのだから。専門家でも知らないことは知らないわけだし・・・。
 それはさておき、題名にあがっているキャッチボール訴訟とは、簡単に言えば、行政訴訟として差止請求をするのか、民事訴訟として差止請求をするのかについて、「Aで請求したらBで請求せよ」「Bで請求したらAで請求せよ」と判決するというお話。大阪空港最高裁判決は、例えば、現在でも産業廃棄物処理場の操業の民事差止めを認められているし、かつて下級審が認めた航空機の離発着の民事差止めを「行政訴訟の方法により何らかの請求をすることができるかどうかはともかくとして」と言って、認めなかった・・・。

 しかし、その当否について論じるためには、もっと文献を読まないといけないだろうし、ちゃんと説明できない気がするので、あくまで、他愛のない話でごまかそうと・・・(^^;。



 さて、どういう他愛のない話をするかというと、しがない行政法研究者(以下、Aと呼ぶ。)と優秀な民訴法研究者(以下、Bと呼ぶ。)の会話という、私の頭の中での会話を書こうかと・・・(^^;。なお、私は行政法にも民事訴訟法にも詳しくないので、かなり不正確な会話文になると思います。m(_ _)m

A:Bさん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。
B:なんでしょう?
A:大阪空港訴訟では、最高裁は、民事差止めを認めなかったよね。どうして?
B:大阪空港訴訟ですか?そんな話でしたっけ?
A:え?だから、最高裁の多数意見は、空港の離発着のためにする供用は、空港管理権と航空行政権の不可分一体だから、行政訴訟でできるかはともかく、民事差止めの請求は不適法だと。どうして、周辺住民を敗訴させる*1にしても、訴訟要件で切らずに、本案審理まで行かなかったんだろう。
B:あー、思い出しました。有名な事件ですね。でもそれほど詳しくないんです。民事訴訟で言えば、本案審理で負けると、既判力(第三者効?)によって、再度争えなくなるじゃないですか。だから、民事訴訟では不適法にすべきだと思います。民事差止めでなくて、行政訴訟で争えば良いじゃないですか。
A:でもね。そもそも、地裁・高裁で民事差止めの本案審理まで行って一応主張立証して裁判所もそれについて判断しているわけだし、最高裁判決までに時間・費用かかっているわけで、それでも、再度、行政訴訟を提起しろと?
 行政訴訟といっても、取消訴訟なのか、当事者訴訟か、(法定外の)差止訴訟か、訴訟のルートが、その当時もよくわからないと言われていたのに?少なくとも、あの当時は、反対意見が言うように、民事差止めを認めるべきではなかったの?
B:私は、行政事件訴訟法について勉強したことがありませんので、これ以上はよくわかりません。
A:公法と私法の関係とかも絡んでくるし、私も、勉強不足だから、これ以上のことは言えないのだけれども・・・。

*1:地裁・高裁では勝訴している。特に、高裁ではほぼ全面勝訴。