教科書の読み方
チョット気になったので、臨時のエントリー。
法律の条文もそうなのですが、共通部分がくくりだされている場合が、実は、教科書にもあります。
民法のパンデクテン方式は有名ですよね。だから、債権各論といっても債権総論、さらには民法総則も知っておかないと・・・。
行政法の分野で一番簡単そうな、行政不服審査法の目次を例に挙げるとすると、
第一章 総則 (第一条―第八条)
第二章 手続
第一節 通則(第九条―第十三条)
第二節 処分についての審査請求(第十四条―第四十四条)
第三節 処分についての異議申立て(第四十五条―第四十八条)
第四節 不作為についての不服申立て(第四十九条―第五十二条)
第五節 再審査請求(第五十三条―第五十六条)
第三章 補則(第五十七条・第五十八条)
附則
例えば、“処分についての異議申立て”の条文は、45条〜48条しかないように思えますが、実際の条文を読めば、48条で、“処分についての審査請求”の節の条文を一部準用していますし、処分についての異議申立てと審査請求の共通部分をまとめた“通則”、さらに総則が適用されます。だから、条文は最初から読むにこしたことはなく、“処分についての異議申立て”についてどの条文を使われるのかについて、意識を持たないとまずいわけですね。
教科書についても同じようなことが言えまして、例えば、あるテーマ・ある章の最初のところに、一般的な話が書いてあって、その下位概念というか、細かな話がさらに章立てて書いてあるわけです。
ある方には、あるテーマについて、詳細なメッセージを送ったことをまだ、こちらのエントリーに公開していませんが*1、例えば、塩野宏『行政法〈1〉行政法総論[第四版]』(有斐閣、2005年)第二部第一章の目次。
第一章 行政上の義務履行確保の手段
第一節 行政上の義務履行確保制度の類型
第二節 行政上の強制執行――一般
第三節 行政代執行
第四節 直接強制
第五節 執行罰
第六節 行政上の強制徴収
第七節 その他の義務履行確保の制度
第八節 行政罰
となっているわけです。例えば、行政代執行と直接強制の区別が分からないのであれば*2、第三節・第四節の本文や注を見るだけではなく、第一節や第二節を読まれたら、なんとなくは分かるのでは?*3
たとえば、第二節(206頁)には、次のような記述が。
直接強制は、相手方の身体、財産に直接強制を加えることで執行罰と区別されるが、代執行との概念上の異同は必ずしも明確ではない。代執行でも、相手方の財産に直接強制力を行使するからである。むしろ、物理的強制に関するもののうち、代執行を除いたものというのが妥当であろう(参照、広岡隆・行政代執行法 (有斐閣双書)〔新版、1981年〕20頁)。
204頁以下の注には、詳細な文献の紹介が・・・*4。