脚本を読む?

 ある時、ちょっとしたきっかけで、というか、ただの思いつきで、ある審議会の議事録を読んでみることにした*1




 その審議会は全29回開催された。

 この議事録をそのままプリントアウトすると、トナーの消費量が膨大になることを予想して、まず、各回を1つのword文書に落とした。それから、改行部分を修正しつつ、二段組みにし、ちょっとでもペーパーレスに公権後見貢献しようとページ数が少なくなるようにした。

 しかし、えらく重かったので、あとから、会議ごとに文書を分割した。その結果、全ページ数はもう忘れてしまったorz。ちなみに、そのときに調べた文字カウントは、たしか22万字くらいではなかっただろうか*2

 さて、この議事録、(ブログを読むなど)他のことをしながらの、ながら勉強だったのだが、1回読み通すのに、2週間もかかってしまったorz*3

 いやー、それにしても読むの難しいですね、議事録読むのって・・・(^^;。脚本を読むときのように、登場人物を頭に入れながら、誰が誰に対して、どのような文脈で何を言ったのか?とか、ちゃんと把握しないと・・・orz。1回素読しただけでは、頭に入りませんでしたorz。メモも取らなかったし・・・orz*4

 しかし、1つの審議会の議事録を読むだけで私は死にそうになりましたが、複数の審議会の議事録、特に、発言者が匿名になっていたら、読み取る作業というのは、もっと大変なんでしょうね*5

 私が読んだ審議会の議事録とは、旧厚生省の厚生科学審議会先端医療技術評価部会の生殖補助医療技術専門委員会の議事録*6

 ほんとうは、生殖補助医療の審議会情報については、さらに、現在休止中ですが、まず2つ*7

 さらに欲を言えば、

  • この問題に関連する別の複数の審議会の議事録

なんかを読まないといけないんだろうなあ(遠い目)。


 この審議会の議事録を読むきっかけになったのは、たしか、大村敦志もうひとつの基本民法〈1〉』(有斐閣、2005年)の「親子(2)――生殖補助医療」188ページ(2003年初出)の文献案内に挙がっているジュリスト・法学教室*8の論文*9にある、コンパクトに紹介されていた審議会の内容を、まぢめに一次資料で当たろうと思ったからかな・・・(^^;。
 この審議会の議事録の内容を把握し切れていないわけですし(^^;、そのほかの審議会の議事録は、今のところ挫折しているわけですが、一行プロフィールにもあるように、根拠のない若干の感想を簡単につぶやくテスト・・・(^^;。

 なお、例のごとく、読んだ内容をかなり忘れており、文献のどこで書いてあったか忘れていたるでのきちんとは注はつけれません・・・(^^;。

  ①日本では、諸外国に比べ法律婚が多く(婚姻カップル全体の90%程度?)、「結婚=法律婚」だと思っている人が多いということ
  ②そして、その原因は、私見では、最終的には戸籍制度にある気がするということ*10
  ③先進国の近時の動向を踏まえて、法律婚の拡大化、または「事実婚」の法的保護の拡充をすすめるべきだとしても、その拡充の程度・範囲のみならず、実は、その実現時期について争いがあるのかなと思うこと*11

  • 生殖補助医療に関して*12 

  ①「現在の法律婚」をどの程度重視するのかという「価値観」にも関連するだろうが
  ②現在の婚姻カップル(?)が、何らかの原因で子どもができない確率(?)が10%(?)あるとして、
  ③「現在の法律婚」でなければならないとすると、簡単に計算すると、全体の1%*13の婚姻カップルは、「当面」受けられないということになる(生殖医療によって子どものできる確率の話ではない。)。
  ④まだ法律にはなっていなけれども、生殖補助医療を日本国内で受けるためには、「法律婚」でないといけないということであれば、「婚姻届くらい出す不利益くらい甘受しなさい。」という感覚(社会常識?)が少なくともあるのではないのかなぁ・・・(^^;。
  ⑤さて、諸外国では・・・(´・ω・`)

  • 生殖医療補助に関する当事者の声について一部紹介すると*14

  ①根津八紘『代理出産―不妊患者の切なる願い (小学館文庫)』(小学館文庫、2001年)
  ②向井亜紀プロポーズ―私たちの子どもを産んでください。』(マガジンハウス、2002年)*15
  ③影山百合子『ありがとう、赤ちゃん―60歳初出産の物語』(光文社、2002年)
  ④野田聖子私は、産みたい』(新潮社、2004年)*16




 ちなみに、私は、専門外のことですので、たくさんの文献を読んでいるわけではないわけですが、いくつかの文献*17で引用されている次の書籍、いつかは「背伸び」して読もうと思っていました。


 今回、生殖医療補助の議論をちょっとだけかじろうと思ったことをきっかけにようやく読むことができたわけですが、その彼女の代表的論文「正義論における家族の位置――リベラル・フェミニズムの再定位に向けて――」(2000年初出)など所収されている諸論文を、まさか号泣しながら読むことになるとは思いませんでしたm(_ _)m*18

正義・家族・法の構造変換―リベラル・フェミニズムの再定位

正義・家族・法の構造変換―リベラル・フェミニズムの再定位

 ひとつ、裏でゴニョゴニョ話していた経緯をちょっと表に出しましたm(_ _)m。

*1:別に、宇賀克也・大橋洋一・高橋滋編『対話で学ぶ行政法―行政法と隣接法分野との対話』(有斐閣、2003年)の47-50頁の「5 行政立法手続」(毛利透=大橋洋一対談)や、さらに両教授の専門論文に影響を受けたからではなく、ただ単に初歩的な作業をしようと思っただけにすぎない。もちろん、当然のことながら、私は、民法の専門家でも、家族法の専門家でも何でもないyo。

*2:いまでも29個の文書の文字カウントを合計すればいいのですが・・・(^^;。私のWord2002の設定だと、10.0MB。

*3:本職の方なら、1日あれば読めるのでしょうか・・・(^^;。

*4:しかし、あの論文は、この議事録から、ああいう読み方をしたのか、ふむふむ・・・(謎)。

*5:参照、中山研一先生のブログから、http://knakayam.exblog.jp/2803269/

*6:しかし、例えば、ヒトゲノム研究(大抵が自主規制論。)とかに比べて、生殖補助医療についての憲法学の論文がないのは、これまで人工授精が行われていたということもあるし、民事法の先生のお任せってことなのでしょうか?また、実務や民事法研究者にお任せでよろしいのでしょうか、行政法の先生方。

*7:少なくとも上のを合わせて3つの審議会の議事録くらい読んでから、ブログ書けっていうご批判はごもっとも・・・(^^;

*8:一般的に、法学教室は、初心者向け、法学部生必見の雑誌といわれていますが、学部生で定期購読したりして毎月読まれている方々には、私は深く敬意を払いますょ・・・(^^;。

*9:失礼がないように、ここであがっているジュリスト・法学教室の論文を紹介しておくと、「特集・生殖補助医療の特集」ジュリスト1243号(2003年)では、①野村豊弘「生殖補助医療と親子関係をめぐる諸問題 総論」、②大村敦志「生殖補助医療と家族法 立法準備作業の現状をふまえて」、③石井美智子「非配偶者間生殖補助医療のあり方 厚生科学審議会生殖補助医療部会の審議状況」、④早川吉尚「国境を越える生殖補助医療 国際私法の観点から」が掲載されている。法学教室は、棚村政行「生殖補助医療と親子関係(1)(2)」法学教室275号・276号(2003年)、窪田充見「嫡出否認と親子関係不存在確認の訴え」法学教室273号(2003年)。

*10:戸籍制度の機能については、例えば、水野紀子「戸籍制度」ジュリスト1000号(1992年)163頁参照。

*11:今回は、夫婦別姓や非嫡出子の相続問題は取り上げなかったが、この場合であっても生殖補助医療であっても、法律が改正されないと改善されないわけですから、いつ法律を作るのかという問題があるわけで。

*12:生殖補助医療の説明をちょっとしないといけませんね・・・orz。

*13:(1−0.9)×0.1×100

*14:偏った紹介になってしまっているかもしれませんが・・・(^^;。

*15:続編として、向井亜紀会いたかった―代理母出産という選択』(幻冬舎、2004年)、ご本人がこの話題に触れられているホームページは、こちら

*16:続編として、野田聖子だれが未来を奪うのか―少子化と闘う』(講談社、2005年)。

*17:例えば、安念潤司「『人間の尊厳』と家族のあり方」ジュリスト1222号(2002年)26頁注14、井上達夫フェミニズムリベラリズム――公私二元論批判をめぐって」ジュリスト1237号(2003年)24頁注2(同『普遍の再生』(岩波書店、2003年)に所収。)、大村敦志家族法 (有斐閣法律学叢書)』(有斐閣、2003年)23頁注15など

*18:ここで、クマのAAを出すのはちょっと不謹慎かと思いました・・・(^^;。遅ればせながら、この場を借りて、彼女のご冥福をお祈りしたします。m(_ _)m