最近の記事から

 最近の記事であって、最新の記事ではありません。ブログを始めて、ようやく3ヶ月。最近、本当に、情報に疎いです( ´-ω-`)。



国家賠償法と失火責任法の関係

 すべてにはできませんが、記事に書いていることをもう少し法的に説明しようと、チョットずつ書く場合があるわけです。ということで、昨年12月8日の日記の“国賠の話?”の続報も兼ねて。

更新2006年01月12日 15:39米国東部時間*1

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畳の残り火にご用心 長崎県で再出火、民家全焼
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 長崎県佐世保市でぼやを起こした民家の畳に残った火種が数時間後に再び燃え、民家を全焼する火事が起きていたことが12日分かった。イ草とワラで作られた畳の場合は消火の際に水を吸うため再出火の恐れは少ないというが、この家の畳は化学製品も入ったもので、中の発泡スチロールの部分に火が残っていたという。
 佐世保市消防局によると、昨年12月5日夜、同市の民家で、ヒーターにかけた衣類から火が出て壁や畳の一部を焦がした。消火後、消防隊員が畳をめくって残り火がないことを点検したが、約7時間後の6日未明に再出火し木造平屋の約100平方メートルを全焼した。
 畳は表面がイ草でできているが、中に発泡スチロールなどの化学製品が挟まっているもので、最近ではほとんどがこうした化学畳という。
 同市消防局は同じ材質の畳で実験。わずかな残り火が、発泡スチロール部分を熱で溶かしながら数時間後でも発火することが分かった。
 佐世保市消防局は「畳の特性は知られておらず、隊員の過失については判断できない」と説明するが、佐世保畳業組合の伊達篤博組合長は「最近は化学畳が圧倒的に多い。特性を説明したパンフレットをまとめ、消防署にも配りたい」としている。(共同)

 googleニュースで1件ヒットしたものです。一部しか見ていませんが、日本の地方紙の共同通信配信の記事では、最後の2段落がないようです。

 今後の消火活動の研究であるとか、火元・消防・畳業組合の今後の動向にも注目しないといけないのでしょうが、今日は、国家賠償法と失火責任法の関係を(^^;。

 まずは、条文。

民法
不法行為による損害賠償)
 第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

【失火責任法】
 民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス*2

国家賠償法*3
 第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
  2(略)
 第四条 国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による。

 まず、民法709条によると、 故意(わざと)・過失(うっかり)があって、他人の権利等を侵害したものは、損害賠償責任を負います。

 しかし、木造建築の多いわが国で、自分の家が火事になったら、隣の家にも類焼してしまうかもしれないので、損害賠償責任について、軽過失を免責にして、故意・重過失のみに限定するのが失火責任法の規定です。

 さて、国家賠償法1条1項は、簡単に言うと、上の記事で言えば、消防士が、故意・過失があって、消火ミスをした場合には、まずは、佐世保市が損害賠償責任を負うことになります*4
 問題は、国家賠償法4条の規定で、1〜3条の規定以外の部分については、「民法の規定による」ことになっていますが、この「民法」が「民法典」のみなのか、それとも、「失火責任法」も含むのかが問題となります。

 では、最高裁判例を見てみましょう。

 国又は公共団体の損害賠償の責任について、国家賠償法四条は、同法一条一項の規定が適用される場合においても、民法の規定が補充的に適用されることを明らかにしているところ、失火責任法は、失火者の責任条件について民法七〇九条の特則を規定したものであるから、国家賠償法四条の「民法」に含まれると解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の適用を排除すべき合理的理由も存しない。したがつて、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法四条により失火責任法が適用され、当該公務員に重大な過失のあることを必要とするものといわなければならない。

 ということで、国家賠償法4条の「民法」に「失火責任法」が含まれるので、消防士が、軽過失で火を消しそこなった場合には、市は免責されるということになります。

 この判決については、失火責任法を適用すべきではないという見解であるとか、火を消す専門家である消防士に安易に軽過失を認めることについて批判があったりしますが、まあ、それはさておき、さて、化学畳がほとんどという今日において、今回の事例で、もし国家賠償請求をしたとすると、軽過失であると裁判所は判断するのでしょうか・・・。その辺は、民法の専門家に・・・(´・ω・`)ヨクワカラナイヨ。

早大でのビラまき逮捕・続報

 これも既にいろいろなところで紹介されているかもしれません(^^;。私も、1月3日の日記で紹介したのですが、その時点で既に、釈放されていたのですね・・・(^^;。これもgoogleニュースで1件ヒット。

早大でビラを配り10日間も拘置

 早稲田大のキャンパスでビラをまいていたアルバイトの男性(22)が建造物侵入の現行犯で警視庁牛込署に逮捕され、東京地検に釈放されるまで10日間にわたって身柄を拘置されていたことが11日、分かった。

 早大などによると、男性は昨年12月20日昼、東京都新宿区の戸山キャンパスで学生会館移転問題のビラを配布。大学側の要請でいったん外に出た後、再び敷地内でビラ配りを始めたため、大学職員が取り押さえて牛込署員に引き渡した。

 東京地検は同月29日朝になって「ビラまきが目的であることがはっきりして事案が軽微だと分かった上、当初黙秘していた男性の身元が判明して逃亡の恐れがなくなった」として処分保留で男性を釈放した。

[2006/1/11/19:50]

 えっと、前回紹介したように、その前日に裁判所で・・・。(´・ω・`)

 あの〜、別に、私、早稲田大学に恨みを持っているわけではないので、悪しからず(^^;。

 話は変わりますが、「ビラまき」でいつも思い浮かぶのが、女優ミムラの初主演番組、フジテレビのドラマ“ビギナー”の第5回ですね。


http://6247.teacup.com/wasedaagenda/bbs

*1:日本時間で言うと、13日5:39更新でしょうか(^^;。

*2:この1か条だけです。

*3:附則を除いて、全6ヶ条の短い条文ですが・・・。

*4:なお、例えば消防士は、被害者から直接損害賠償責任を問われないとするのが、判例・通説です。