公共の福祉・その1
いわゆる、ふつーの教科書などとは違って、順番はバラバラ、まったく体系性はなく、思いついたことを、時間が許す範囲でエントリーを書いているにすぎません。時間がない場合は、別の話題など・・・。
将来的には、毎日の更新ができなくなったり、また・・・( ´-ω-`)。
前から言ってますが、もっと早くから、できれば1年前から、はじめるべきでした・・・orz。
今日は、条文の話のみになるでしょう。
大卒程度の公務員試験・教養試験対策向け?
- 日本国憲法において、人権の中で「公共の福祉」による制約を明文で認めているもの
条文を挙げたほうがいいでしょうか。
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。*1
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
○2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
○2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
○3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
ということで、太字で強調したように、「公共の福祉」という文言があるのは、12条・13条・22条1項・29条2項の4箇所だけです。
厳密に言えば、下線で強調したように、12条でも「公共の福祉」という文言は、後段部分のみにあるから、12条前段の人権保持義務にはないし、13条も後段部分のみであって、前段の「個人の尊重」のところにはない。
逆に、29条は、1項〜3項まで(少なくとも1項2項を)一括りにしてして、「財産権」と読んでいるから、財産権は公共の福祉の制約を受けるということになります。
また、22条は、1項、すなわち、「居住・移転の自由」と「職業選択の自由」については「公共の福祉」の制約を受ける明文規定があるけれども、2項、すなわち、「海外渡航の自由」と「国籍離脱の自由」は「公共の福祉」の制約を受ける明文規定はないということになります。
で、「公共の福祉」という文言の後ろをみると、「公共の福祉のため」「公共の福祉に反しない限り」となっていますから、なんとなく、その人権を制約する根拠になりそうですね。
よって、「公共の福祉」による制約を受ける人権規定は、明文では、
1.濫用防止義務(12条後段)
2.幸福追求権(13条後段)
3.居住・移転の自由(22条1項)
4.職業選択の自由(22条1項)
5.財産権(29条)
ということになるでしょうか・・・(^^;。
繰り返しになりますが、だから、人権保持義務(12条前段)、個人の尊重(13条前段)、平等権(14条)、表現の自由(21条)、海外渡航・国籍離脱の自由(22条2項)など、その他の人権規定は、「公共の福祉による制約を受けない」ということもできます。
大卒程度の公務員試験・専門試験対策以上?
ところが、細かい話は抜きにして、すべての人権規定は、原則として、「公共の福祉による制約を受ける」と考えるのが通説です。
例外として、例えば、以前とりあげた「検閲の禁止」(21条2項前段)。これは判例も、公共の福祉による制約を受けないといっていましたね。他にも・・・。
まあ、今日はこのへんにしておきましょうか(^^;。
~Y~ †
(´・ω・)ノ ギネアアブラヤシ!!
*1:強調及び下線は、しが研が行った(以下、同じ。)。