目次・項目立ての重要性
タイトルは偉そうに書きましたが、要するに、書き手のほうは、読み手に対して、どういう内容を書くのかが、すぐにわかるように書くべきであるし、読み手は、勉強して入れ歯いればいるほど、目次・項目立てだけを見て、読む場所を決めたり、内容がわかってしまうというわけですね。
その具体例になるかは別として、それに関連するお話をば。
素材は、改訂版が待ち遠しい、塩野宏『行政法〈3〉行政組織法[第二版]』(有斐閣、2001年、第一刷)の公務員法*1。
塩野宏『行政法Ⅲ[第二版]』の目次ii-iiiの「公務員法」の目次の一部
第二部 公務員法
序章 公務員法制の理念とその展開
第一章 公務員法制の基本構造
第二章 勤務関係総説
第三章 公務員の権利・義務
序説
第一節 公務員の権利
第二節 公務員の義務
第三節 公務員の責任
節は、第一章と第二章にもありますが、それらは省略し、第三章だけ引用しました。また、頁数は重要な情報ですが、省略しました。先ほど挙げた、藤田教科書や、塩野教科書が前提としている議論を理解するためには、併せて読んでおくべき田中二郎『行政法 (中巻) (法律学講座双書) 全訂第二版』(弘文堂、1976年)の目次は省略ということで・・・(^^;。
塩野宏『行政法Ⅲ[第二版]』の「公務員の権利」の大まかな目次
第二部第三章第一節(230頁以下)の、公務員の権利の次の階層の目次をピックアップします。
第一節 公務員の権利
一 職務遂行権
二 財産的権利
三 基本的人権
四 保障請求権
序説の内容も読まないといけませんが、基本的人権という上位概念の下に、職務遂行権・財産的権利・保障請求権があるわけではないのかな?っと思ってしまいますよね。
受験用テキストになると、後述の「公務員の義務」にまとめられてしまって、思想・表現の自由なんて、省略されてしまうかも・・・。
塩野宏『行政法Ⅲ[第二版]』の「公務員の義務」の大まかな目次
次に、第二部第三章第二節(242頁以下)の、「公務員の義務」の次の階層の目次をピックアップします。
第二節 公務員の義務
一 義務のカタログ
二 服務の宣誓
三 職務専念義務
四 法令及び上司の命令に従う義務
五 争議行為等の禁止
六 政治的行為の制約
七 秘密保守義務
八 信用失墜行為の禁止
九 私企業からの隔離
一〇 公務員倫理の保持――国家公務員倫理法
憲法99条の憲法尊重擁護義務は、目次にも本文にも書いてありません。官職の兼務とかも・・・。
さらに言えば、大学関係の記述が多くても、自衛隊員の指定場所に居住する義務(自衛隊法55条)の話が出ていないとか(この1文は18:25追記)。
塩野宏『行政法Ⅲ[第二版]』の「公務員の責任」の大まかな目次
次に、第二部第三章第三節(261頁以下)の、「公務員の責任」の次の階層の目次をピックアップします。
第三節 公務員の責任
一 序説
二 懲戒責任
三 弁償責任
四 刑事責任
特に、弁償責任かな?これが民事責任とどう違うのか、国賠責任はどうなるのか?書いてあるようで、書いてないような気が・・・。
刑事責任は、刑法で勉強してもらいましょう・・・。
まあ、結局、目次と本文をちょっと読んだだけの感想のみですが、「条文をきっちり読みましょうねぇーと、自分に言い聞かせてみるテスト。
*1:例えば、藤田宙靖『行政組織法』(有斐閣、2005年)があるだろうとか、それと比較するべきというご意見はあるでしょうが、これだけを。ちなみに、伊藤塾『行政法 (伊藤真試験対策講座 13)』(弘文堂、2005年)には、公務員法の記載はありませんが、LEC編『C‐Book 行政法 (PROVIDENCEシリーズ)』(東京リーガルマインド、2005年)は、おおむね塩野教科書の要約ってところでしょうか・・・(^^;。